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株式会社設立の9つのメリット、6つのデメリット【保存版】

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株式会社設立の9つのメリット、6つのデメリット【保存版】
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個人事業から会社組織にする場合
一体どういった違いがあるのか?
今までとはどこが変わってくるのか?
など、不安に感じる人も多いです。

この不安は、
実際に会社を設立し運営していく事で解消されていきます。

ただ、事前に個人の場合とどういった違いがあるのか分かっておくだけで、その不安感をかなり解消する事ができます。

そのためにも
会社を作る前にどういったメリットやデメリットがあるのかを把握しておく必要があります。

”節税”という面から会社設立を検討する人も多いのですが、個人事業の所得(売上から仕入れや経費を引いた儲けの部分)が400~500万円を超えると法人の方が有利となってきます。
その他の部分でもどういった影響があるか?
会社設立のメリット・デメリットを洗い出していきます。

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株式会社設立の9つのメリット

株式会社設立の9つのメリット

最初は個人事業で始めて事業が軌道に乗ってくると法人化する人が多いです。
法人化する人が多いという事はメリットがあるからです。
どういったメリットがあるのかを見ていきましょう。

1.社会的信用度の高さ

会社を設立すると、得意先や仕入れ先や、その他社会からのイメージが違います。
一般的には組織化していて前向きなイメージを持たれます。

また、個人事業は開業する事自体も簡単です。
極端な話、今日から開業するといえば開業できます。
もちろん資格等が必要な事業ではすぐには出来ないですが、そういったものが不要であればすぐにでも事業を始める事ができます。

このように
個人事業の場合はすぐに開業できますが、

会社は少し時間がかかります。
会社法の改正で以前より設立しやすくなっているものの、
法務局に届け出て会社を設立登記する事が必要です。
この登記が終わらないと、会社として名乗ることができません。

そしてこの届け出た情報は、登記事項証明書(謄本)に記載されます。
この登記事項証明書(謄本)は法務局で申請すれば誰でも見れるものです。
下に書いている記載事項は簡単に調べる事が出来る情報という事になります。

登記事項証明書(謄本)に記載される事項

・会社名
・会社の本店
・代表取締役の住所・氏名・選任された日
・取締役の氏名・選任された日
・設立年月日・事業目的、資本金の額、発行済株式数等

株式会社や合同会社の場合、どこの会社の分でもこれらの情報を法務局で入手することができます。
かなりの情報ですよね。
しかも関係者だけでなく、誰でも取得する事が出来ます。
この会社の謄本を見るという事は、新規取引先と取引開始するかどうかの判断や、知らない会社を調べる第一歩の手段ともなります。
実際に私も取引する前に謄本を取って確認した事も何度かあります。

また、
取引先から法人成り(個人事業から法人化する事)をすすめられるという事もよくあります。
大きい会社などでは個人とは取引せずに法人組織でないと取引しないといった事もあります。
個人事業だと大企業とはなかなか取引はしにくいのが現状です。

あと、原稿やデザインなどの仕事をしている場合、個人事業だと源泉所得税の対象となりますが、
法人だと必要ありません。
そういった点でも法人が選ばれるということはよくあります。
取引先からすると、法人であれば源泉の処理が不要なので事務手続きが楽だからです。

そのため、法人は、個人よりビジネスチャンスを逃しにくく、社会的信用が高いです。
『法人化(法人成り)のメリットの社会的信用。どこが違うか30人に聞いてみた。』

2.赤字の繰越期間が長い

会社が払う法人税や個人が払う所得税といった税金は
利益に対して係る税金です。

例えば法人で、

1期目が1,000万円の赤字
2期目が600万円の黒字の場合、

1期目は赤字なので、法人税はかかりませんが、
2期目が600万の黒字となると、法人税を払う必要がありそうです。
でも、
2期目の黒字の600万円は、1期目の赤字の1,000万円と相殺してゼロとなります。

さらに残りのマイナス400万円は翌期以降に繰り越すことができます。
この赤字の繰越しのできる期間が個人と法人とで違います。

個人では、3年間
法人では、9年間(平成30年4月1日以後に開始する各事業年度において生じた欠損金額については10年)

赤字を繰り越すことが出来ます。
法人の方が、赤字を長い期間繰り越す事ができるので有利です。

3.給料を支払う事で、給与所得控除が使える

自営業者の場合、自分自身に給料を支払うことはできませんが、
会社を設立すると、会社が社長に給料を支払うことになります。

例えば、
AさんがB株式会社を設立した場合。
B株式会社から、社長であるAさんに給料を支払います。

会社が社長に年間1,000万円の給料を支払った場合、
会社の利益は、当然1,000万円分減ることになります。

又、社長個人が受け取る給料に対する税金は、その給料額の1,000万円に対して計算するのが普通ですよね。

でもこの場合、
1,000万円ではなく、805万円に対して税金を計算することになります。
この差額の195万円(1,000万円ー805万円)が給与所得控除です。
この195万円は経費を使ったのと同じ扱いになります。

社長といえど、サラリーマンの1人になるので給与所得控除を受けることが出来ます。
結果的には、この195万円に対する税額が節税となります。

4.家族への給料

個人事業の場合、原則的に家族へ給料を支払う事ができません。
(個人事業でも専従者給与というものがあって、
事前に届出をしておくことにより支払うことは可能です。
この場合はその事業に専従しているという要件があります)

法人の場合、一定の範囲であれば家族である非常勤の取締役や
監査役に対しても給料の支払いができます。

これは、非常勤であっても取締役責任や監査役責任があり、
職務内容に応じた金額であれば認められています。
※個人事業の様にその事業に専従する必要はありません。

5.決算月を自由に決める事が出来る

個人事業の確定申告の場合、決算月は12月と決められています。
日本中の個人事業者の全員が12月決算となり、
翌年2月1日から3月15日までに申告・納付が必要となります。

これに対して会社の場合は自由に決算月を決める事が出来ます。
1~12月のどの月でも大丈夫です。
また、月末でなく20日など月の中途でもOKです。

例えば、4月20日を決算日とすると、4/21~4/20がその会社の事業年度となります。
3月31日の場合は、4/1~3/31です。

事業や資金の状況を考えて決算月を決めれるという事はメリットです。
また、決算月は変更することもできます。

6.退職金を支払う事が出来る

退職金を支払う事の何がメリットなんだと思うかもしれません。

この退職金は、税制上かなり優遇されています。
個人事業をやっていて廃業しようと思っても、自分自身に退職金を支払うということは当然できません。

これが会社の場合、退職金の支給ができます。
この退職金は適正な金額であれば、会社の経費になるものですし、
また、もらった側も税制上優遇されています。

例えば30年勤めた従業員に退職金1,000万円を支給する場合。
⇒ 1,000万円の退職金に対する所得税・住民税はゼロとなります。
(在職年数による控除があるためです)

※給与で1,000万円もらおうと思ったら、100万円単位で税金が必要です。

会社を設立する時点ですので、退職というのはかなり先になる場合が多いのですが、
出口段階を考えておくことも事業では重要です。
入口(会社設立)を考えるときに、出口(引退や廃業・事業承継)も頭に入れておきましょう。

7.有限責任

個人事業の場合は、借入などの債務に対して無限責任となりますが、
株式会社の場合、基本的には資本金(出資)の範囲で有限責任です。
(株式会社や合同会社の場合を前提)

つまり、借金の額が多く支払えなくなったとしても、最悪資本金(出資)の範囲で弁済すればいいということになっています。

ただ、有限責任といっても、中小企業の場合は、
社長が連帯保証になっている場合もよくあります。
その際は実質的に有限責任というわけにはいきません。

この部分は、株主と社長がイコールでない会社(大企業など)との大きな違いです。
※もちろん、中小企業でも無借金経営や借りていても連帯保証をつけていない会社も
たくさんあります。

8.事業承継をしやすい

株式会社にすると、
その会社の所有者は株主という事になります。

株主がその会社を持っていて、取締役がその会社を動かします。
言い換えれば、その会社の権利を持つのが株主です。
ということは、株式の数でその会社の資産を割ることが出来ます。

この割る事が出来るというのはメリットです。

例えば、個人で不動産を持っている場合、
通常なら不動産を割ることはできません。
(もちろん、共有で所有したり分筆などは出来ますが、費用がかかります)

これが会社の場合、その株数で割ることができます。
割ることができるということは、贈与や売買で次の世代にも移転しやすいです。
個人では相続という事にもなってきますが、法人の場合は相続というものがありません。

また、許認可についても法人の方が継続させやすいといったこともあります。
個人の場合は、親子だとしても個人としての人が変わるので、別で必要となります。
これが法人の場合、代表者の変更手続きで済む場合もあるので、
会社として許認可を継続させやすいです。

9.公私の区別がつきやすい

個人事業は、プライベートと仕事の区別が曖昧で、
通帳も共通で利用している場合もよくあります。
(個人事業の場合、プライベートと事業では通帳を分けるべきです)

また、仕事とプライベートで同じ名前を使いますので、
どこまでが仕事の経費でどこまでがプライベートなのかも
区分しにくいのです。

もちろん、個人には屋号というのもあります。
ただ、税法上はあくまでその個人がどうか?
ということになるので、屋号は重要視はされていません。

これが会社の場合、
会社が行ったということであれば、基本的には会社の事業活動と考えやすいため、線引きとしては行いやすいやすくなります。
(会社だから経費になるという事ではありません)

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株式会社設立の6つのデメリット

株式会社設立の6つのデメリット

次に会社を設立する際のデメリットを見ていきましょう。
会社を設立する際は、ここを理解しておく事が重要です。
デメリットを洗い出しておくことで、安心して会社を作る事ができます。

1.赤字でも税金がいる!?

個人事業の場合、赤字であれば所得税は不要です。

これが、法人の場合、
赤字だと利益に対する税金は不要ですが、
均等割というものは必要です。

これは法人府県民税・法人市民税に含まれるものです。
金額としては、その都道府県・資本金等の額・従業員数などにもよるのですが、年間で最低7万円程度は必要となります。

2.役員の任期

株式会社を設立すると、取締役監査役を決めることになります。
(監査役についてはなくてもOKなので、最近の会社では監査役をなしにしているところが多いです)

この取締役や監査役には任期というものがあって、
この任期を経過するごとに取締役・監査役の選任をして
法務局に届け出る必要があります。

この任期の期間ですが、定款で2年~10年の間で決める(監査役は4年~10年の間)
ことができます。
この期間ごとに取締役や監査役を選任し、数万円程度の費用が必要となります。
また、現状では監査役を置かずに取締役1人だけでOKとなっています。

このような事から新しく設立する会社では、取締役1名のみや、
奥さんと2人。一緒に事業を行う人と2人など、
役員を1~2人程度にしているところが多いです。

3.設立手続や解散・清算手続に費用がかかる

設立の際には、
株式会社の場合、登録免許税や印紙などの実費部分で
242,000円が必要となります。

これに対し、合同会社の場合、
登録免許税や印紙などの実費部分で
100,000円です。

逆に廃業の場合、
個人事業では、廃業の届出等を出せば、届出上はOKです。

それが会社の場合、会社自体をたたむときには、
基本的には解散・清算といった手続きが必要となります。

この際には登記も必要となってくるので、
専門家に依頼し、解散・清算の手続きを行うと最低数十万円の費用が必要です。
費用もかかるので、最近は清算まできっちり行い会社を消滅させるという事も少ない
です。

実務的には、事業を休止状態にしているところも多くなっています。

4.複式簿記に帳簿管理が必要

この点についてはデメリットというのもどうかな?
という部分もあるのですが、
会社を設立すると必ず必要という意味でデメリットにあげました。

個人の場合、簡易簿記といって、
損益(儲け)だけを把握する方法が認められていますが、

法人の場合、損益だけでなく資産・負債などの残高の管理が必要です。

こういった方法を複式簿記といいます。
若干手間はかかりますが、会社や事業の状態を把握するのに、
複式簿記は必須です。

なので、個人で事業をしている場合でも簡易簿記ではなく、
複式簿記で管理されている人も多くなってきています。

クラウド会計などの会計ソフトを使う事で複式簿記による管理も
しやすくなっています。

5.交際費に限度がある

会社の場合、交際費に限度があります。
どういう事かといいますと、

交際費が800万円を超えると、税務上の経費とならないのです。

これが、個人事業の場合はそういった制限はありません。
個人で年間800万円以上も交際費を使う様な場合、
法人にしないという考えも選択肢の一つです。

ただ、中小企業で年間800万円以上交際費を使う法人は少ないです。

6.社会保険の加入が必要となる。

個人事業の場合は従業員が5人以上で社会保険に強制加入となります。
逆にいうと、個人事業の場合、従業員4人以下だと社会保険に加入しなくても良いのです。

これが、法人の場合は従業員の数にかかわらず、
社会保険に加入する必要があります。

会社の社会保険の負担としては、給料支給額の約10%~15%程度が
目安となりますので、社会保険の負担も大きいものとなります。

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会社設立のメリット・デメリットのまとめ

会社設立には様々なメリット・デメリットがあります。
最終的に会社にするかどうかは、
自分自身が今後どうしていきたいか?という事が大事です。

そのしたい事を基準に、
そのためには会社がいいのか?個人のままがいいのか?
を考えるとともに
これらのメリット・デメリットを踏まえた総合的な判断が必要です。

【令和元年11月1日追記】
その他、会社設立のメリットとしては、節税をしやすい面もあります。
基本的に法人からの支出の方が経費に認められやすい傾向があるということと。
出張旅費日当を支払える、社宅を利用できるなど、法人ならではの節税があります。

下記の表に比較できる部分の特徴をまとめたので参考にしてください。

 法人  個人事業
 社会的信用度  高い  低い
 赤字の繰越期間  9年間(H30.4.1以後開始から10年)  3年間
 決算月  自由に決める事が出来る  12月31日
 代表者への退職金の支払い  支払える  支払えない
 責任の範囲  出資の範囲で有限責任  無限責任
 事業承継  行いやすい  行いにくい
 公私の区別  つけやすい  つけにくい
 赤字の場合の税金  均等割が7万円以上  不要
 役員の改選などの維持費用  必要  不要
 事業を始める場合・やめる場合の費用  必要  不要
 事務負担・帳簿の作成方法  複式簿記が必要  簡易簿記でもOK
 交際費  800万を超えると経費にならない  制限はなし
 社会保険  加入が必要  従業員4人以下は不要

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『なぜ株主はこのようにしたのだろう?』
『役員の決め方や、決算期はこの月の方が良かったのに』…

など、事前にアドバイスをすることにより、より良い状態や節税
となっていたのにという事が多々ありました。

事業を本格的に始める会社を作る段階でその土台部分をしっかりと
築いていくことが重要です。

大阪会社設立相談センターでは、事業を始めた後の事を想定し、
長期的な視点で会社を軌道に乗せるお手伝いをしています。

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